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不登校児童をケアする家庭教師のYURUMIにインタビュー!子どもと保護者に寄り添う講師の思いとは

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近年、「いじめが原因で学校へ行けない」「ひきこもりになってしまった」など子どもの不登校に保護者が悩んでいるケースをよく耳にします。

誰にも言えない不安や傷をひとりで抱え込んでしまっている子どもや保護者は数多くいると思います。

そんな問題を改善しようと、不登校に悩む子どもや保護者を対象とした家庭教師サービスをおこなっている団体が「家庭教師のYURUMI」です。

家庭教師のYURUMIでは、大半のスタッフが過去に不登校を経験したことがあり、子どもたちの気持ちに共感し寄り添うことで進学や社会参加をサポートしています。

今回は、そんな家庭教師のYURUMIで講師を務めている小出 咲(こいで さき)さんにお話を伺いました。

YURUMIは生きづらさを抱えた人たちに寄り添う家庭教師サービス

家庭教師のYURUMI
ー本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、「家庭教師のYURUMI」の設立の背景についておしえてください。  

小出 咲さん(以下、小出):YURUMIは、「不登校の人やその家族などが生きづらいこの社会を、なんとか変えたい」という思いのもとに設立されたNPO団体です。生きづらさを抱えた人たちが互いに助け合うことで、生きづらいこの社会に生きやすい空間をつくっていくことを目的としています

不登校の人が感じている生きづらさというのは、周りから「学校にいけない=落ちこぼれ」というイメージや「精神を病んでいる人」といった見方をされてしまうことです。

実際に不登校だったYURUMIの家庭教師たちは「困難な状況にあるだけの普通の人として扱ってほしかった」と考えています。

不登校の生徒の気持ちがわかるからこそ、気持ちに寄り添い生徒が生きやすい空間を作りたいと考えました。

不登校の悩みを経験した家庭教師だからこそできるケア

ー過去に不登校に悩んだスタッフが家庭教師をすることで、生徒にどのような影響があるのでしょうか?

小出:YURUMIでは、過去に悩みや問題を乗り越えた仲間のことを「ピアサポーター」といいます。不登校の子どもと同じ生きづらさを抱えた仲間だからこそ、共感できることがたくさんあります。

誰も自分のことをわかってくれないと苦しむ一人ひとりに向けて、ピアサポーターが講師として勉強を教えたり、フラットに生徒と接することによって生徒の自己肯定感が育っていくと考えています

スタッフは20代の人が多く、生徒は年齢の近いお兄さんやお姉さんといった立場に感じてくれています。

勉強の合間にする会話などのコミュニケーションが生徒にとっては貴重な他者からの承認であったり、自己肯定感に繋がっています。

また、ピアサポーターは生徒と同じような悩みを乗り越えてきたからこそ、保護者への説明がしやすいという特徴もあります

保護者は不登校を経験していない場合が多く、「子どもの気持ちがわからない」と悩まれている場合も多いです。ピアサポーターなら子どもの気持ちを汲み取ることができます。

ー家庭教師のYURUMIのサービスを受けたことで生徒が成長した事例はありますか?

小出:YURUMIでは、生徒がいかなる選択をしたとしても否定しません。生徒の気持ちや行動を尊重する関わり合いのなかで、少しずつ不登校を抜け出せた生徒もいます。

また、YURUMIのサービスを受けたことでピアサポーターに憧れる生徒がでてきました。そのため、生徒だった人がピアサポーターとしてインターン生になった事例もあります。

顧問の児童精神科医からレクチャーを受けたうえで、ピアサポーターとして活躍するなど、生徒の社会参加へと繋がっています(※1)。

(※1)現在はコロナ禍のためオンライン家庭教師という形がメインになっています。

生徒の個性に合わせたオリジナル学習指導

家庭教師のYURUMI
ー生徒への学習指導はどういった点に力を入れてやっていますか?

小出:YURUMIでは、勉強の合間や休憩中に生徒と一緒にゲームで遊んでみたり、生徒とコミュニケーションをとることに力を入れています。

不登校の改善がすべての目的ではなく、生徒の自己実現に繋がる指導をしたいという考えからです。

同時に、保護者には子どもの不登校が心配な気持ちや「学校へ行ってほしい」という願いもあります。

そのため、生徒の気持ちと保護者の気持ちのバランスを取りながら、
まずは生徒自身のことを理解するための指導を優先しておこなっていますね。

ー一般的な家庭教師との学習指導の違いははどんなことでしょうか?

小出:
一般的な家庭教師とYURUMIの違いは、授業時間がすべて勉強の時間ではないということや、学校で扱っていない内容を扱う家庭教師がいることです。

YURUMIにはさまざまなバックグラウンドの家庭教師が在籍しています。東大生も多く、プログラミングなどのスキルや理系に特化した講師などもいます。そのため、数学が好きな子どもには、学校では扱わない発展的な問題を教えたりすることもあります。

独自性が強く、学校の学習指導要領とは別に生徒や保護者の目的に合わせた指導もおこなえることが、ほかの家庭教師とは違う点です。

ー学習指導ではテストはおこなっていますか?また、在籍している家庭教師はどれくらいいますか?

小出:
学習指導をする際は、学校や塾などのようなテストはしていません。ただ、生徒の苦手科目に絞ったピンポイント指導をおこなうこともあり、その際にはテストをおこなう家庭教師もいます。

また、YURUMIに在籍している家庭教師は10名以下と、まだ少ないです。現在は、採用の強化をおこなっているため今後は徐々に増えていくと思います。

しかし、採用後には精神科医のレクチャーや、そのほかの技術的な研修を受ける必要があるため、すぐにYURUMIの家庭教師として現場に出られるわけではありません。現在在籍している家庭教師はそれらの研修を終えた優秀な家庭教師です。

現在、「家庭教師YURUMI」が対応しているのは東京都の区市部のみですが、今後は関東全体に拡大予定とのこと。

Ameba塾探しでは、家庭教師や塾・学習塾を比較して探すことができます。

ぜひ、東京都の地域(市区町村)から塾・学習塾ランキングを探すのページから検索してみてくださいね!

保護者に寄り添うメンタルケアも充実

ー不登校の子どもと保護者の問題には、どういったことがあるのでしょうか?

小出:
保護者と子どもの問題にはいろいろありますが、「親子間でコミュニケーションがうまくとれない」事例が多く挙げられます

たとえば不登校の場合は子どもがずっと家にいる分、親子の間ですれ違いが起きやすくなり、「無視する・暴言を吐く・無口になる」ようになってしまうなど、子どもの態度に悩まされる保護者も少なくありません。

「子どもが何を考えているのかわからない」「反抗的な態度にどう接していいかわからない」など、保護者からしたらなぜ子どもが学校に行かないのかわからないというケースが目立ちます。

子どもからしたら、本人も何をしているのかわかっておらず「なぜそんな態度をとってしまったのか」と、あとから悩んでしまう人もいます。

また、暴言を吐いたり反抗的な態度をとるほかに、急に子どもっぽく甘えてくる態度もあるなど、極端な温度差に戸惑って悩みを抱え込んでしまう保護者もいます。

家庭という閉鎖された環境にずっと居ることで両者が煮詰まってしまい、より親子間の摩擦が酷くなってしまうのかもしれません。

ー保護者のメンタルケアでは具体的にはどのような取り組みをおこなっていますか?

小出:
YURUMIでは保護者や子どもに対してセラピーやカウンセリングなどは採用しておらず、フィンランドを発祥の地とした「オープンダイアローグ(開かれた対話)」を採用しています。

オープンダイアローグとは、悩みを抱えている人とその関係者、そしてサポーター(複数名)が全員で対話をおこなう対話スタイルです。
オープンダイアローグでは、必ずオープンな質問を参加者にします。そうすることによって、対話の輪が広がっていきます。

オープンダイアローグには、精神科医と心理士が参加することは比較的少ないです。セラピーやカウンセリングだと、「家庭教師=先生」という位置づけを生徒が上下関係としてみてしまうことがあるからです。オープンダイアローグではそのような位置づけを排除して対話をおこなうため、話しやすさがあります。

また、YURUMIのスタッフは生徒や保護者について話し合う必要がある場合、必ず生徒と保護者がいる目の前で話し合いをおこないます。打ち合わせやミーティングなどでも、スタッフだけで問題を話し合うことはありません。

ー「オープンダイアローグ」のセラピーやカウンセリングとの違い、またその効果を教えて下さい。

小出:
オープンダイアローグは、もともとは統合失調症の治療に使われていました。

YURUMIは不登校の子どもとあくまでも対等に、対話を通じて寄り添いケアをすることを目的としています。患者として治療・矯正するセラピーやカウンセリングとは考え方が根本的に違っています。

オープンダイアローグをおこなうと自分自身を客観的に見ることができ、「自分の中での発見や、改めて自分を見つめ直す」効果が高いと言われています。

保護者からは「こんな風に考えているなんて知らなかった」といった意見が多く、保護者も知らない新鮮な発見を得ることができます。

オープンダイアローグでスタッフが親子間の摩擦を減らす潤滑油になることで、親子間の問題に向き合う効果的な取り組みが可能です。

ー保護者に「子どもが不登校になる前」にできるサポートなどが、もしあれば教えていただけますでしょうか?

小出:
YURUMIでは、保護者向けのオンラインサロン「保護者のためのゆるみ」を開設しています。保護者としての悩みだけではなく、ひとりの人間としての悩みにも向き合って心理士と一緒にサポートしていきます。オンラインサロンでは、保護者に対して生きるうえでのトータルメンタルケアをおこなっています。


オンラインサロンには精神科医などへのパイプラインもあるため、保護者に対して的確なアドバイスやサポートが可能です。「これからどうしたらいいか悩んでいる」「子どもが不登校かどうかわからない」といった悩みを持つ保護者も気軽に利用できます。

実際に保護者の悩みに「不登校になるかどうかの瀬戸際」の場合もあり、不登校なのかどうか判断ができずに困っているケースもあります。 

また、ほかのケースとして、生徒によっては家族以外とは一切接したくないと家庭教師を拒む人もいます。「外見に自信がない」「周りの目が気になる」など理由はさまざまであり、保護者が相談にきたとしても半分くらいの子どもが来るのを嫌がります。そのような場合にも、オンラインサロンをぜひ活用していただきたいです。

コロナ禍で見えた不登校の子どもへの影響

ー新型コロナウイルスの影響で社会が大きく変わってしまったと思うのですが、子どもになにか変化はあったのでしょうか?

小出:
ネット環境に慣れている子どもだと
オンラインになったことで、勉強がやりやすくなったという意見があります。しかし、ネット慣れしていない子どもや発達障害の子どもなどは、オンライン環境に適応できなかったり、家の中だけでは勉強できないといった意見もあります。それぞれの生徒の状況や環境によって、影響が大幅に違っています。

さらに、
コロナ禍の自宅学習によって「学校に行く・行かない」の境目が不明瞭な状態になってしまっています。「学校に行っていない=不登校」ということではなくなりました。

新型コロナウイルスの影響で不登校の基準が曖昧になっているため、今後も状況を分析することが重要だなと実感しています。

ー今回のお話で「家庭教師のYURUMI」を知っていただいた方に、なにかメッセージなどあればお願いします。

小出:
YURUMIとしては「多様性」を大切にしており、さまざまな在り方があることを大事にしています。

どんな生き方であっても、寄り添って一緒に困りごとに対処していきたい、よりよい環境の構築をしていきたいと考えています。無料相談もおこなっているため、
まずは気軽に、不登校かどうかまだわからない状況でも遠慮なく連絡してください。

どんな状況でもYURUMIのスタッフは受け止め寄り添っていきます。今、困っている人の手助けができることが、私たちは嬉しいです。

ー本日はお時間をいただきありがとうございました!


取材協力:家庭教室のYURUMI

工藤 智也
この記事を執筆した執筆者
工藤 智也

Ameba塾探し 執筆者

「Ameba塾探し」の編集兼ライター。子どものころは勉強が苦手で、好きな教科と嫌いな教科でテストの点数が極端に違ったタイプ。国語が好きで、本ばかり読んでいた学生時代。中学校で塾に通い、その時に初めて塾で勉強すると成績が伸びることを実感。苦手な数学の成績が上がったことは、勉強に対する考え方が変わった良いきっかけに。この経験を活かし、勉強することが苦手な人が、少しでも勉強を好きになり前向きな塾選びができるようなサイトを目指します。