偏見や差別がない社会を!NPO法人「ねがいのいえ」の障害を持つ児童に対する保育への取り組みとは

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待機児童、保育士不足、建設反対運動など、保育業界の課題はとても多いのが現状です。

さらに、障害を持つ児童が保育園に入園するのはとても大変なのだそう。

今回は、そんな保育の課題解決に取り組む、NPO法人「ねがいのいえ」理事長の藤本 真二さんにお話を伺いました

ねがいのいえは、保育園や、児童デイサービスを運営し、障害を持つ児童と障害がない児童が、一緒に遊んで交流し合える場を提供しています。

偏見や差別がない社会を実現するための取り組みを、ぜひご覧ください。

  1. 児童デイサービスを運営する「ねがいのいえ」
  2. 新しい保育のかたち「企業主導型保育所」とは
  3. 親子や子どもたちが交流できる児童センターを計画中!
  4. 助け合える環境と“偏見や差別がない社会”を目指して

児童デイサービスを運営する「ねがいのいえ」

子どもたちがブランコで遊んでいる画像

ー本日はよろしくお願いします。まず初めに、NPO法人「ねがいのいえ」がおこなっている、児童デイサービスとっとちゃんについてお聞かせください。

藤本 真二さん(以下、藤本):NPO法人「ねがいのいえ」は、未就学と就学児を対象に、放課後等デイサービスと、児童発達支援をおこなっています。


当団体では両方おこなっているため、児童デイサービスと呼んでいます。

まず放課後等デイサービスの対象は、小学校1年生から高校3年生までと年齢層が広いんですね。

基本的に学校が終わった放課後の学童保育と同様なので、午後から来るのがメインです。

活動内容としては、一般的に年齢に応じてグループを分けるところが多いなか、当デイサービスでは全員一緒に、体操や学習、音楽活動をおこなっています

また、言葉を話せない重度の子どもたちに本を読み聞かせたり、内面の成長を促すような活動をしたり、言葉を話せなくてもなにかしらの方法で自分の気持ちを伝えることができるよう、コミュニケーションの練習もしています。

児童発達支援については、学校に入る前の児童たちが対象なので朝から来ていますね。

当団体が保育園も運営していることから、障害をもつ児童が午前中保育園に行って、同年代の障害のない子どもたちの集団のなかで一緒に過ごすんですよ。

午後は児童発達支援の場に移動して、個別の成長段階に合った療育プログラムのスケジュールを組み立てています。

新しい保育のかたち「企業主導型保育所」とは

園内で子どもたちと保育士が砂場で遊んでいる画像

ー「ねがいのいえ 保育園」について教えてください。

藤本:ねがいのいえ 保育園は、認可保育園ではなく、企業主導型保育所という2016年から始まった新しい保育サービス
です。

括りとしては認可外と呼ばれるものですが、内閣府の事業として国からきちんと補助金をもらい認証を受けておこなっているので、ほぼ認可と同じなんですね。

認可保育園と認可外保育園の違いは、入園する際の振り分け。認可保育園の場合は、行政が入園する子どもを選び、保育園側に指示するのですが、企業主導型の場合は、入園に関しては行政を通さないため直接見学に来た方と契約するんです。

公正なはずの認可保育園でも、人員不足やノウハウがないなどの理由で、障害をもつ児童の受け入れを断るケースがよくあります。

当保育園は、障害をもっている児童も、もっていない児童も関係なく受け入れているので、なかには認可保育園を10件以上断られたというお子さんが直接訪ねてくるんですよ。

障害をもつ児童と、障害のない児童が関係なく入園できる保育園は珍しいそうです。このように、全体で保育を取り巻く状況が変わっていくといいですね!

テラコヤプラスでは、駅や地域にあわせて塾・学習塾を検索することが可能。

入塾を検討している方は、「ねがいのいえ」最寄りの西大宮駅 塾・学習塾 ランキングや、さいたま市西区 塾・学習塾 ランキングなどから探してみてくださいね!

親子や子どもたちが交流できる児童センターを計画中!

子どもが風船を持って遊んでいる画像

ー今後の展望があればお聞かせください。

藤本:
現在運営している保育園が2軒あるのですが、1年半前に新築で建てた保育園の敷地がまだ半分空いていて、そこに児童発達支援センターを建てる予定です。

保育園と児童発達支援センターを並んで建てて、中央に園庭をつくり、障害をもつ児童と保育園に通う児童が、その園庭で一緒に遊んで交流し合えるようにします。

ほかにも、児童発達支援センターのなかに親子広場をつくりたいと考えています。

この辺は新興住宅地なので、今まで地域に縁の無かった人が移り住んできているため、近隣に親戚や、助けてくれる人があまりいない核家族が多いんです。

子育て支援センターは各所にありますが、子育て広場は子育てをする家庭を支える重要な場所。したがって、障害をもつ児童を含め、地域の親子が一緒に過ごす居場所や、地域での交流の場になればいいですね。

また、子育て広場の計画に関しては、行政などの補助もなく、地域貢献として法人独自でおこなうので、ぜひご理解いただける方から寄付が集まると嬉しいなと思っています。

助け合える環境と“偏見や差別がない社会”を目指して

かほちゃんが滑り台を先生と滑っている画像

ー最後に読者の方へ一言メッセージをお願いします。

藤本:
私は古い福祉の時代から活動していて、障害をもつ子が生まれた家庭がものすごく困っていた過去の実状を知っています。

そのため、今、この放課後等デイサービスや、児童発達支援がすごく増え、たくさんの人がこのサービスによって助けられている、そんな世の中になったことを大変嬉しく思っています。

ただその一方、利益を重視する業者も増えてきて、事業所はたくさんあるのに、医療的ケアのお子さんや、支援が大変な人は断られる、などといったことが普通に起きているんです。

また、障害のある方をクローズアップした報道や、テレビ番組なども増えたことにより、たくさんの方に障害のある方、そしてご家庭の苦労を分かってもらえるようになったはずなのですが、未だに偏見や差別があるんですよね。

だからこそ、こういった偏見や差別をなくし、誰もが助け合いながら、困っている人が支えられる時代を次に目指さなきゃいけないのだろうなと感じています。

そして、子どものころから障害の有無に関係なく一緒に交流して、一緒に育つ世の中になっていかなければ社会は変わらないと思っているので、当法人はこれからもそういった環境づくりに舵を切っていきたいです。

障害の壁や、差別のない社会をどうやって築いていけばいいのか、意識を向けて学んでいかなければいけないので、みなさんにもご理解いただけたらと思っています。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!


■取材協力:社会福祉法人 ねがい


福岡 萌子
この記事を執筆した執筆者
福岡 萌子

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

幼少期はダンス、フィギュアスケート、ピアノ、英会話などを習う。英語に特化したカリキュラムが豊富な私立高校の国際情報コースに通い、イギリスでの短期留学を経験。その後、恵泉女学園大学人間社会学部にてインドネシア文化とフランス文化を学ぶ。その後、幼児~シニアを対象としたダンス講師として従事。2021年4月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。保護者やお子さまの目線に寄り添い、知りたい情報を確実にお届けできるよう目指しています。